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ミニバスと中学校バスケット


先日、あるミニバスの指導者の方が私のウェブページに書き込みをしてくださいました.その方のページの中に、ミニバスと中学校バスケットについて、気になるコメントがありました.

その中で、「中学校の先生方はミニバスの存在を否定的に捉えている」と読み取れるコメントがありました.しかし、全中での上位チームのプレイヤーは、ほとんどミニバスの経験者である(月刊バスケットボールの記事より)ということで、ミニバスのないチームがとくに強いというわけではないようです.そこで、私なりにミニバスについて考えていることを述べたいと思います.

ただし、ほとんどのミニバス指導者の皆さんは私がこのあとに書くようなことはもうお分かりのことと思います.これは、ミニバスの指導をしたことのない私のいわば私見です.ミニバスの指導者の皆さんがどんなことに気を配って指導しておられるか、ぜひ教えてください.ミニバスも、中学校も、実業団も、ルールは違えど、同じバスケットボールです.お互いに学ぶべきものが必ずあるはずです.そのために、私は以下の文を書きました.


1.ミニバスはバスケットボールとどこが違うのか?

ミニバスとバスケットボールの違いは、

 

(1)プレイヤーのレベル、体格の違い

(2)戦略の違い

の2つがあると思われる.それでは、それぞれについて考えていこう.

(1)プレイヤーについて

  ミニバスの選手は大体が小学校5年生、6年生である.私は自分の中学校に入ってくる小学校の試合は年に1回見る機会がある.今のところそれらの小学校は郡大会でもあまりかんばしい成績はあげていないが、彼女らのプレイを見て、体格の違い、筋力の違いはさておき、一番感じるのはプレイヤーの個人差の大きさである.

  ゴールにショットが届かない選手でも、ゲームにはでてきている.かといえば、身長170cmのプレイヤーもいる.レイアップショットのできない選手もいるし、とにかくそれらの選手がみんなゲームにでてきているのだ.というよりも、出さないといけないのだ.これは、果たして良いことなのだろうか.

  しかし、特に差を感じるのは基本的なことである.基本的なことができているかできていないかで大きな差がついているように思う.

  ボールをもらった時のトリプルスレットポジションができている選手はあまりいないように思う.また、ディフェンス時の膝がくっついている(内股気味の)選手が多く、膝が曲がっていない腰の高い選手がほとんどである.

  また、「止まれない」選手も多く、ピボットも思うにまかせないという状態だ.ボールの突き出しが甘く、すぐトラベリングになる.踏み出してパスをしないのでパスが弱く、膝が曲がっていないので、ドリブルフェイクもできない選手が多い.

  そんなバスケットボールに関する全ての動きが、良くも悪くも「くせ」となっていて、直すのに苦労するということがある.毎日毎日気をつけて見ていかないと、すぐに元のようになってしまうのだ.

  つまり、最初が肝心ということなのだろうか.

  それに対して、小学校の時にきちんと教えられてきた選手は中学校に入ってからの伸びが全然違う.自分のチームの1年生は今もってディフェンスの基本であるStay Low、足前後、重心の位置、手の位置、目線が身につかない.かかとをべったりとつけたディフェンスが体に染み付いているのだろう.

(3)戦略の違い

  動きの中からスペースを取ってボールをもらおうとしないプレイヤーが多く、ボールがコートのリングとリングを結んだ直線から左右にあまり広がらず移動するため、パスコースがなく、自然とドリブルに頼る場面が多くなる.また、ショットについては、レイアップショットが一番多く、ジャンプショット、セットショット、ポストプレイが少ないようだ.あと、全体的に、「もうちょっとバスケットをおぼえるともっと強くなる」と思わせるチームが多いようだ.特に私の近辺の小学校の選手はリングをみていないと感じる.

 

2.ミニバスに何を望むのか?

  ここまで、ミニバスに否定的なことを書いてきたが、私は基本的にミニバスに感謝している.何せ、ミニバスのないチームでは、例えばピヴォットさえもできない選手を春には多数抱えることになるからだ.その点、ミニバスがあれば、ある程度の経験があるし、癖はいずれ直っていくものであるし、なによりもバスケットというものを知っていてバスケット部に入部してくるわけだから、ある程度の動機もある.繰り返すが、ミニバスの存在とは有り難いのである.そんなミニバスに、望むことがいくつかある.

 

1.得意技を1つでいいから、身につけさせてほしい.

  小学生の個人差というものは中学生よりも大きいと私は思う.その中で、全員に同じことをやらせようとしてもかなり無理があるのではなかろうか.しかし、小学生ということを考えた時、個々に違った得意技を身につけさせようとしても難しいと思われる.

  それならば、「他のチームに優る声を出してプレイしよう」とか、「他のチームに優るドリブルを身につけよう」とか、「他のチームに優るパスを身につけよう」とか、何でもいいのでチームの特色をだして育てていければ、少なくとも部員はそのプレーに対しては誇りを持てるし、中学校に入学した時、中学校の監督たちは、その得意技を生かして、チームを育てていけるのではないだろうか.

  パスが得意な選手たちが入部してきたら、パスゲーム主体のオフェンスと、それに対応できるディフェンスを組み立てていけるし、ドリブルが得意な選手が入部してきたら、ビジョンを広げる練習をすれば、ゾーンプレスもドリブルで突破でき、アーリーオフェンス主体のチームが育てられる.

得意技が欲しい.

 

2.サボらず頑張る心を、人を思いやる優しい心を、プレーする楽しさを、チームワークを身につけさせてほしい.

 

  私は、現任校で6年になるが、その間、ミニバスの指導者は2つの小学校でそれぞれ3回と4回代わっている.それぞれの指導者がやってきたことというのは、入部の時点ではっきりと見て取れる.逆に私も高校のコーチに同じことを見抜かれているのだろう.

 

  このように、小学生は中学校に入学してくる時点で、小学校の指導者のカラーを色濃く反映してくる.小学校の時に手を抜くことをおぼえると、中学校でもそのくせはなかなか直らない.

これを直すのが一番難しい.

サボりたい子供は多いし、女の子は特に足の引っ張りあいが好きだから、まじめにやろうとする子供もつぶされてしまうことがある.

そのためには部員の頑張りが見えるようなシステム作りが必要である.個人の頑張り、小グループでの頑張り、チームの頑張りが毎日の練習で部員自身に見えるような、だれもが頑張ればそれがみんなの目に見えて、みんなから認められ、コーチからほめられるような、そんな練習メニュー作りをこころがければ、子供はさぼらなくなるのではないだろうか.

 

  部員同士の思いやりを育てるために、まずは、コーチも部員の仲間だという意識を持つことが必要である.学校の先生であれば、(本当はいけないことかもしれないが、)「自分たちは他の部の子供たちよりコーチからひいきされているな」となんとなく感じさせることがいいと思う.

日頃の会話や、授業中、放課後、学校行事、その他いろいろな場面で「ひいき」のチャンスはある.あまりやりすぎて、「バスケット部はみんなに5をあげる」などというのはだめだが、監督が自分も含めて「チーム」というものを感じると、部員も自然に「チーム」を感じ始めるのではないだろうか.

あとは、「連帯責任」でもって、チーム全員で一つの課題を達成するというタイプの練習を多くして、その時に一生懸命応援させる.できなければチームにペナルティを与える.チームは2つに分けてお互いを競わせるというのでもよい.

課題を達成するために、お互いに声を出させ、課題が達成できなくてもチームワークは誉めてやればいいし、課題が達成できたら、コーチも思いっきり喜ぼう.コーチが喜ぶことは部員の喜びでもあるのだ.これが、プレーの楽しさに、チームワークにつながっていくと私は思う.あとは、それらの練習が試合に通用し、ゲームに勝てるようになっていくと、コーチと部員との信頼関係が深まり、チームワークはより強固なものになっていく.

 

3.おわりに

  このように、いろいろ書いてきたが、100人のコーチがいれば100通りのやり方がある.一番大事なのは、「どういう選手を育てたいか」という明確なビジョンを持ち、それをつねに有形無形であらわしていくことであろう.バスケットの道はつらく厳しい.しかし、確実に人間を成長させる.そして、コーチをも成長させるのがバスケットであろう.

おわり

意見、感想、批判など、お寄せください.

  

  


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